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融資審査のポイント その3
前回に続きまして、融資審査のポイントをご説明致します。
融資の際に経営者様の会社状況が黒字の状態か、赤字が続いている状態かで融資側も重要視する内容が異なります。その中でも融資審査で必ず必要な項目がございます。
必ず必要なポイントをまずクリアにしていただき、そこから融資が実行されるようにプラスアルファで工夫をしていくことが融資実行に向けて大切な取り組みになります。
今回は会社の情報、社長・株主の情報についてポイントをピックアップし、そのポイントごとに説明をさせていただきます。
経営者様が今回ご紹介する内容に該当するかご確認いただきまして、今後の活動のご参考にしていただければと思います。
【概要】(前回同様です。)
融資審査の際に下記のポイントに置かれます。
・資金用途(融資された資金をどのように使う予定か、資金用途違反をしていないか。)
・経営計画(事業計画をどのようにたてているか。)
・決算書(会社に利益があるか、財務内容に問題がないかなどを確認される。)
・社長、会社、株主の情報
会社の経営状況が黒字を継続している正常な状態ですと、決算書と資金用途が重要視されます。
融資担当者は決算書の利益金額を基に経営者様の会社はいくらまで返済金を支払うことができるか把握されます。それにより融資額、返済期間などを検討します。
逆に経営状況が悪い会社の場合には、経営計画書と資金用途が重要視されます。
経営状況が悪い会社は経営をよくするための経営計画を考え、融資担当者が納得してもらえる資料を準備することが大切です。
経営計画書の提出するにあわせて、自社が行う商品やサービスの内容をアピールできるようにパンフレットなどを提出するのも良い方法です。
【会社、社長、株主の情報】
融資の審査をする上で、会社の業種、社長と株主の過去の略歴などで問題がある場合には、そもそも融資を申し込みすることができない場合があります。
この状態ですと、事業計画や決算書の内容がどんなに良くても融資を受けることはできません。
中には融資担当者に黙っていればバレないと思われる内容もございますが、融資担当者も細かく確認する内容となりますので、安易にバレなければ良いというような考えはお持ちにならないようにしていたければと思います。
では、どういった場合に融資を進めることができないかをご説明致します。
≪会社の情報≫
融資を申し込む会社で融資の審査を受けることができない場合は簡単に言いますと、会社が融資の対象とならない業種・反社会勢力に関わっている、社会に対して問題を起こしている会社、過去の融資で貸し倒れがある会社などです。
まず、業種についてですが例えば日本政策金融公庫ですと、金融業・風俗業・娯楽業の一部・社会福祉事業などです。金融業には投資業も含まれます。
民間の金融機関から融資を受ける際にほぼ利用することになる信用保証協会では、農業・林業・漁業・風俗業・金融業・学校法人・宗教法人・非営利団体などは保証の対象とはなりません。
このように融資の対象とならない業種がございます。また、民間の金融機関にも各金融機関によって対象とならない業種が定められていますので、心配な場合には事前に確認しておくことをお勧めします。
対象外の業務をしていない場合でも会社の履歴事項全部証明書で会社の目的にこれらの業種が記載されている場合には融資対象とならないケースが多いです。ご注意ください。
次に会社が反社会的勢力である場合には融資を受けることはできません。自社が反社会勢力でない場合でも取引先に反社会勢力がいる場合には関わりのある会社と判断され融資を受けることはできなくなります。
社会的に対して問題を起こしている会社とは、例えば違法ビジネスをしている会社・公害問題が発生している会社などです。大きな事件になっている場合には融資を受けることが厳しくなります。
以前にもご説明をしたことがございますが、過去に貸し倒れを起こした場合には、保証協会付きで代位弁済がされたとき、プロパー融資で貸し倒れを起こしたときには、それぞれ保証協会付き融資は申し込めません。貸し倒れを起こした金融機関ではプロパー融資は申し込むことができなくなります。
以上が会社の情報でそもそも融資を申し込むことができない場合です。
金融機関ではこれらの情報を詳しく事前に情報収集しています。
冒頭でもご説明しましたが、隠しても調べれば気づかれる内容ばかりですので、安易に隠すようなことは避けていただければと思います。もし、意図的に隠していることを融資担当者に知られると後々に困った事態となります。
≪社長、株主の情報≫
社長と株主の情報では、反社会的に関わりがないか、犯罪履歴はないか、過去の融資で貸し倒れを起こしていないか、実質的な経営者は別で存在していないかなどを確認されます。
反社会勢力に関わりがある場合には先ほどのご説明同様に融資を受けることはできません。また、過去に犯罪履歴がある場合には内容によって融資を受けることができないケースがございます。
過去の融資で貸し倒れを起こしている場合には、保証協会付融資で代位弁済がされているときは保証協会付きの融資を受けることはできないです。実際に貸し倒れて7年以上経過しても新規で融資を申し込めないケースがございました。
プロパー融資で貸し倒れた場合には、貸し倒れを起こした金融機関で新たに融資を申し込むことは厳しいです。
実質的な経営者が別に存在している場合とは配偶者や知人に社長の役職についてもらい、真の経営者は別にいる場合です。この真の経営者が先ほどの内容に該当すると融資を受けることはできなくなります。
金融機関に対して隠して融資を申し込んだとしても融資担当者がヒアリングをする際に事業の内容や今後の見通しなどの説明を受けると実質的な経営者は別にいると見抜かれます。
見抜かれてしまうと融資を受けることは難しくなりますし、今後も新たに融資を申し込むことは困難な状態となってしまいます。
融資担当者もこれらの内容に該当する会社へ融資を実行してしまうと大変な事態となってしまいますので、情報収集は細かくされています。
弊所でご相談いただきました経営者様でも過去に自己破産していたにもかかわらず、自己破産していないという誤った情報を提供したことにより融資の審査に落ちたことがございます。
弊所としましても事前に自己破産したことを教えていただければ、いつ自己破産したのか、その理由はなんだったのかなどをヒアリングさせていただき、どのタイミングで融資を申し込むのがベストかを検討することができました。
このようなケースで融資を申し込み審査に落ちたという本来避けることができた履歴がついてしまうことになり、もったいないこととなりました。
今回は以上となります。
ご説明した内容は会社の財務状況や事業計画などがどんなに素晴らしいものだとしても融資を受けることができない内容となります。
これから創業をお考えの場合には、十分にご注意いただきたい点です。
対策としましては、まずはそもそも融資を申し込むことができない会社、社長、株主にならないことが一番の対策です。これらの内容は事業計画や決算書の内容とは別次元の話になりますので、ご自身で注意していただく以外に方法がございません。
少しでも経営者様のお役に立てれば幸いです。ありがとうございました。