ブログ
融資審査のポイント その1
融資の際に経営者様の会社状況が黒字の状態か、赤字が続いている状態かで融資側も重要視する内容が異なります。その中でも融資審査で必ず必要な項目がございます。
必ず必要なポイントをまずクリアにしていただき、そこから融資が実行されるようにプラスアルファで工夫をしていくことが融資実行に向けて大切な取り組みになります。
今回はポイントをピックアップし、そのポイントごとに説明をさせていただきます。
【概要】
融資審査の際に下記のポイントに置かれます。
・資金用途(融資された資金をどのように使う予定か、資金用途違反をしていないか。)
・経営計画(事業計画をどのようにたてているか。)
・決算書(会社に利益があるか、財務内容に問題がないかなどを確認される。)
・社長、会社、株主の情報
会社の経営状況が黒字を継続している正常な状態ですと、決算書と資金用途が重要視されます。
決算書の利益金額を基に経営者様の会社はいくらまで返済金を支払いことができるか把握します。それにより融資額、返済期間などを検討されます。
逆に経営状況が悪い会社の場合には、経営計画書と資金用途が重要視されます。
経営状況が悪い会社は経営をよくするための経営計画を考え、融資担当者が納得してもらえる資料を準備することが大切です。
経営計画書の提出するにあわせて、自社が行う商品やサービスの内容をアピールできるようにパンフレットなどを提出するのも良い方法です。
【資金用途】
資金用途は融資された資金の使い道のことです。
会社の状況が良くても悪くても必ず確認をされるものですので、注意して取り組んでいただく必要がございます。
また、本来の資金用途以外に融資資金を使用すると用途違反となり、融資側がこの事を認識すると今後の融資取引はしてもらえなくなります。最悪の場合には、融資額の一括返済を求められることになりますので、ご注意くださいませ。
資金用途には大きく分けて「運転資金」「設備資金」がございます。
以前にもご紹介をさせていただきました内容を改めてご説明をさせていただきます。
【運転資金】
運転資金は簡単に言いますと、毎日営業するために使うお金です。
業種ごとに運転資金の中身は違いますので、イメージしやすい「卸売業」と「小売業」でご説明させていただきます。
まず、売上を上げるためには、商品を仕入れます。
商品を仕入れる際にお金を取引先へ支払います。
仕入れた商品が売れて、支払ったお金は回収をします。
この一連の取引での商品仕入が運転資金に該当します。
卸売業の場合、売上側のほとんどが売れてから現金の入金まで、期間を要します。
そのため、事業をするにあたって現状の運転資金と現金が回収できるタイミングを考え、いくらまでなら商品が仕入できるかを考えなくてはいけません。
「製造業」は現金が入金されるまで、もっと時間がかかります。
製品が売れるまでに、材料を仕入れて製造し、販売するので取引先が一般消費者でしたら、まだ現金の回収は速いですが、会社間での取引だと回収までに期間を要します。
この運転資金が不足している場合に、融資にて資金を補填します。
これら以外にも人件費、交通費、家賃、水道光熱費、リース料、外注費など、日々の支払いに必要なものも運転資金に含まれます。
税金の納税や一時的に資金が必要な賞与なども運転資金に該当しますし、融資を申し込むための資金用途としても融資申し込みの理由としては問題ございません。
また、日本政策金融公庫で申し込む創業融資ではこれらの運転資金の3ヶ月分まで融資額の対象となります。
3ヶ月を超える分の運転資金は融資の対象とはされませんので、創業計画を立てられる際にはご注意いただき融資だけに頼ることなく自己資金も計画的に貯めていただければと思います。(日本政策金融公庫ではご希望融資額の10分の1以上は自己資金として最低必要です。)
【設備資金】
設備資金はその名の通り、事業をするために必要な設備を購入するための資金です。
大きいものでは土地・建物の購入代がございます。
それ以外にも、製造業の場合には製品を製造するための機械装置、器具備品などがございます。
また、事業用の車両の購入費や運送業の場合には運送用のトラックなどもです。
事業の内容にもよりますが、創業の方で設備資金を申し込みされるもので、内装代・車両代・物件の敷金、礼金・パソコンやプリンターなどの事務用品が多いです。物件の家賃は運転資金として取り扱いますが、敷金、礼金は設備資金に該当します。
設備資金の返済期間は創業融資の場合、最長で20年まで返済期間を延ばすことができます。運転資金は融資額が高額になりやすく、返済期間が短いと毎回の返済額が高額となり、資金繰りが苦しくなります。また、資金を設備に投入してもそれが売上となり、会社の利益が上がるまで期間がかかります。そういった事も考えて返済期間は長めにとることをお勧めします。
設備資金のための融資額は高額になりやすいですが、日本政策金融公庫では1,000万円を超える融資を申込する場合には、申し込んだ支店だけでなく、本店にも決済を得る必要がでるため、融資を受けるためのハードルが格段に厳しくなります。
融資が実行される可能性が低い場合には、創業の計画をミニマムなものに変更し、初回の融資申込額は数百万円に抑えて申し込みをします。まずは返済実績を築くことに専念します。
事業が軌道に乗って、返済実績もできましたら次に本来必要とする融資額を申し込みます。創業融資でご希望の融資額にならなくても直近だけの状況で考えず、長期的な視点をもって取り組んで行くことが大切です。
【経営計画】
経営計画は経営者様の会社が5~10年先の売上や利益の推移がどのようになるかを表にしたものです。
損益計算書の内容を将来の年度ごとに金額を予想していただければ経営計画書の作成をしていただきやすいかと思います。
弊所に融資の相談をいただきましたら、この経営計画書についてもお客様のお話しをお聞きしながら具体的に作成することが可能です。
この経営計画書を作成することで経営者様のお考えを整理することができ、会社にいくらあれば事業を継続していけるかなどを把握することができます。
また、融資が必要な金額も具体的に把握することが可能となります。
経営計画書を経営者様が考え作成されることで融資申し込みの際にも、融資担当者へ説明がしやすくなります。
今回は以上となります。
次回に決算書・社長、会社、株主の情報を引き続き説明をさせていただきます。
融資を申し込む際にご準備ただく内容が多く、また、注意すべきポイントがたくさんございます。
大変なことがたくさんございますが、弊所にご依頼いただきましたら内容を整理し、お客様の融資実行に向けてしっかりサポートをさせていただきます。
融資実行をきっかけに事業を成功されている経営者様、事業が回復した経営者様も数多くいらっしゃいます。
上手くいかれている各経営者様は取り扱われている商品やサービスの内容が素晴らしいことももちろんではございますが、やはり事業計画などをしっかりお考えになり、資金がショートしないようにされています。
融資のお申し込みは大変なことですが、申し込むまでの準備で経営者様もご自身の経営を考えていただく良い機会だと思います。
うまくいっている経営者様とお話しをしますと、このことをよく考えられていらっしゃるなと感じることが多いです。